
2026年8月7日
東京農業大学 研究・産学官地域連携推進部 御中
PBLと社会実装の連携 — 網走川流域から
日本GXグループ株式会社 / 東邦レオ株式会社
私たちは、学生が地域の現場に入りながら「ローカルGX(LGX)人材」へ育っていく教育×社会実装の仕組みを、宮崎大学を起点に実証してきました。
その次の舞台として考えているのが北海道・網走川流域です。東邦レオは2026年4月、流域の農業者・漁業者による「網走川流域の会」と包括連携協定を締結し、流域全体を最適化する事業づくりを始めています。私たちが動き始めたこのフィールドは、貴学オホーツクキャンパスの足元でもあります。
オホーツクキャンパスの先生方とは既に意見交換を重ね、前向きな反応をいただいています。本日は、ご一緒できそうなテーマや、実施に向けてクリアすべきポイントについて、ディスカッションさせていただければと考えています。
テーマ:ご一緒できそうな領域
実施に向けてクリアすべきポイント
最初の一歩:小さく試すなら
→ 詳細は最終セクション「本日のディスカッション」へ
私たちについて
WHO WE ARE



カーボンクレジット・環境価値プラットフォーム
JCX運営、Jクレジット細分化・個人所有プラットフォーム(特許取得)
GXアドバイザリー・開示支援
TCFD/ISSB対応、GX戦略・ロードマップ策定
一次産業・地域GX
農林水産業の環境価値創出、地域資源の高付加価値化
GX-DXシステム開発・データ基盤
環境データ基盤の構築・IoT/AI/API連携


1965年創業。屋上・壁面緑化から、まちの緑のマネジメント、グリーンインフラの計画・施工・維持まで、「緑で、まちと暮らしを良くする」実装を全国で手がけてきた企業です。
日本GXグループの主要株主として資本参画しており、グループとして「環境価値の制度・データ設計(JGX)× 現場のグリーンインフラ実装(東邦レオ)」の両輪を担います。
グリーンインフラ実装
緑化・雨水管理・生態系配慮の計画から維持管理まで
網走川流域の会と包括連携協定
2026年4月締結。流域環境保全で協働(次章)
GREEN×EXPO 2027
2027年国際園芸博覧会(横浜)にパビリオン出展予定

GREEN×EXPO 2027 パビリオン計画イメージ
網走川流域
THE ABASHIRI WATERSHED
「網走川流域の会」は、上流の農業者と下流の漁業者が、同じ川を守るためにつくった団体です。活動は10年を超えます。
東邦レオは2026年4月、この会と包括連携協定を締結しました。流域をひとつの単位として、環境保全と事業づくりを地元と並走して進めています。柱は下の3つです。
報道
「網走川流域の環境保全で包括連携協定 — 流域の会、グリーンインフラ事業の東邦レオと」(北海道新聞・2026年4月20日)

2026年4月・包括連携協定の調印式(美幌町)

バイオスウェル(浸透溝)の実証施工
グリーンインフラ実証
農地の雨水・栄養塩を受け止めるバイオスウェルや貯留池を、流域の農地に実装して検証する。

遊水地・実験農地・観光・ラボを一体化する投資イメージ
流域ランドスケープの構想
遊水地・実験農地・観光・フィールドラボを一体で描き、官民連携で整備・運営する流域の絵をつくっている。

廃ガラスから生まれた流氷硝子
地域をつなげた体制の共創
流氷硝子のような地域の担い手を訪ね、農業・漁業・観光・クラフトを横につなぐ協力の輪を開拓している。
網走川流域
上流に森林、中流に畑作・酪農、下流に網走湖と漁業。森から海までが、ひとつの流域に収まっています。
東邦レオが協定を結んだフィールドは、貴学オホーツクキャンパスの足元に広がっています。実証地点はいずれも、キャンパスから日常の距離です。
流域最大の課題:網走湖の富栄養化
上流から集まる栄養塩が湖にたまり、アオコや貧酸素がシジミ・ワカサギ漁に影響してきました。流域の会が農業と漁業をつないできた出発点がここにあり、バイオスウェルや貯留池などのグリーンインフラは、この負荷を減らすための打ち手です。
宮崎で実証した型
THE MIYAZAKI MODEL
地域の農林水産業・自然資本から生まれる環境価値(CO2吸収・生態系保全など)を、Jクレジットの細分化技術で個人や学生にも届く小さな単位にし、教育・観光・地域経済の中で循環させる。これが私たちの言う「ローカルGX」です。
図:旧来の経済圏(国民・国土・法定通貨)に、クレジットと環境スコアでつながる環境価値経済圏を重ねる構想。図中の各要素はクリックすると解説が開きます。

宮崎大学では、実務家教員によるPBL科目を起点に、「地球規模の課題(XL)を、大学とスタートアップ(S)を経て、失敗が許されるXSサイズまで縮小して試す」方法論で、教科書づくりから社会実装までを一気通貫で実践してきました。
この「XSから始めて段階的に大きくする」方法論は、後述する大学の参加の建付け(サークル→授業→枠組み)にもそのまま適用できます。

宮崎大学でのPBL授業のようす

地球環境問題・国策。大きすぎて誰も手が出せない
大学・スタートアップ
失敗が許されるプロトタイピング。うまくいったら段階的に拡大
地域の困りごとを「クエスト」として発行し、学生が現場に出て挑む。達成すると一次データ・スキルスコア・小口の環境価値が学生に残ります。学び・地域貢献・環境価値がひとつのループで回る——これが宮崎で動いている仕組みです。全国のフィールドに網走川流域も加わり、道内の複数地点への横展開も構想しています。
凡例:z=クエスト内の報酬ポイント/GXスコア=環境貢献の大きさ/RANK=活動実績の段位。「(イメージ)」のピンとカードの一部は構想中のデモ表示です。
繁忙期カレンダーを学生と運用し、一次産業の現場に立つ
※労務にあたる時間は最低賃金以上の対価を別途支給

宮崎キャンプのスポーツ観光客60万人向けシステムを開発。環境アクションをすると個人単位でポイントが貯まり、プロ球団との接点が増える行動変容アプリケーション。

山-川-農地-海で活動できる里山里海フィールドを作り、流域自然資本の可視化に着手。



連携の可能性
POSSIBILITIES FOR COLLABORATION
ここからは「ご提案」というより、貴学の取り組みや関心領域とあわせて議論させていただきたい、たたき台です。現時点では、①クエストによるPBL授業や地域実装の共同実装と②流域グリーンインフラの文脈における共同研究の2つに可能性があると考えています。
サークル・課外活動
学生が流域の会の活動やクエストに参加。単位化不要・低リスクで、今すぐ始められる。
意思決定:学生・教員個人レベル
授業・PBL科目
オホーツクキャンパスの科目・実習と接続。宮崎大学で実証済みの教科書・クエスト形式を提供。
意思決定:学部・教務レベル
共同研究・連携協定
研究室×流域フィールドの共同実験、大学としての連携協定。研究・産学官地域連携推進部が主役になる段階。
意思決定:本部・研究推進レベル
技術研究組合への参画
全国の大学・企業・自治体と共同で、教育×環境価値の共通基盤・標準をつくる側に立つ。設立段階からの関与が可能(絵姿は第5章)。
意思決定:大学経営レベル
例:まずオホーツクキャンパスの学生サークル・有志が流域の会の活動に参加(XS)→ 手応えを踏まえて実習・PBL科目へ(S)→ 研究室の共同実験と連携協定(M)→ 技術研究組合の設立メンバーとして全国展開をリード(L)。
流域グリーンインフラを軸にした共同研究のたたき台です。いずれも「実装先が既にある」のが特徴で、学術的な研究テーマとしての磨き込みは、先生方の関心領域とあわせて議論したいと考えています。

ドローン測量・リモートセンシング
流域スケールの地形・植生・水質モニタリング。積雪・低温という寒冷地特有の制約下での運用手法そのものが研究対象。
実装先:網走川流域フィールド

多自然農法・環境保全型農業
生産性と生物多様性・水質保全の両立を圃場で評価。農業と漁業が同じ川でつながる流域ならではの実証テーマ。
実装先:流域の畑作・酪農地帯(津別・美幌・大空)

バイオ炭・土壌炭素固定
間伐材や農業残渣を炭にして農地へ還し、土壌改良・保水と炭素固定を農業経営に組み込む。地域の資源が地域を巡るサーキュラーデザインの設計・検証。
実装先:網走川流域/宮崎ほか既存フィールド

水耕栽培・緑化システムの内側づくり
新しいグリーンインフラの植栽基盤・水循環・生育管理を共同開発。博覧会パビリオンという「見せる実装先」がある。
実装先:GREEN×EXPO 2027 パビリオン/都市グリーンインフラ

一次産業経営・環境価値の経済評価
農漁業経営に小口クレジット・環境価値がどう効くかを経営データで測る。網走市内だけで農業338経営体・漁業96経営体。
実装先:流域の農業・漁業経営体

エコツーリズム・地域資源のGX価値化
流氷や廃ガラスのアップサイクル(流氷硝子)など、地域資源を環境価値と物語で結ぶ体験設計・効果測定。
実装先:網走・流域の観光/クラフト事業者
器とゴール
PLATFORM & GOAL
4-1の階段のいちばん上(Lサイズ)の絵姿です。宮崎で実証した仕組みを、特定の大学・一社に閉じたものにせず、大学・企業・自治体が対等に参画できる技術研究組合として全国の共通基盤にしていく準備を進めています。大学は研究フィールドと教育の質保証を、企業は実装を、学生は現場での成長を持ち寄る器です。

東邦レオは、2027年に横浜で開催される国際園芸博覧会「GREEN×EXPO 2027」にパビリオンを出展予定です。
ここに「学生とつくったグリーンインフラ」「流域から生まれた環境価値」を見せる、という共通のゴールを置けます。網走や宮崎での実証は、博覧会で世界に見せる出口までつながっています。
テーマ:ご一緒できそうな領域
クエストを使ったPBL・地域実装や、流域グリーンインフラの共同研究など、貴学の取り組み・関心領域と重なるところはどこか。
実施に向けてクリアすべきポイント
進めるとした場合、学内の手続き・体制・時期など、何を整理する必要があるか。無理のない建付け(XS〜L)もあわせて伺いたい。
最初の一歩:小さく試すなら
現地見学やサークル・課外での参加など、負担の少ない形で試せる一歩があるとすれば、何が良さそうか。
ネクストステップ(候補)
① 現地合同視察
ご関心があれば、オホーツクキャンパス・流域の会・東邦レオ/JGXで網走川流域のフィールドをご一緒に② テーマの突き合わせ
共同実験のたたき台と、先生方の研究関心・既存の取り組みを重ねる場づくり③ 小さく試す
話が合えば、学生参加の小さな一歩(サークル・課外など)から様子を見ながら
東京農業大学 研究・産学官地域連携推進部 御中|2026年8月7日
日本GXグループ / 東邦レオ